私の身体の秘密
私は、走ったりジャンプしたりすることができない。
運動が苦手だから、というわけではない。
身体を激しく動かすと、その揺れが下腹部を刺激し、やがて無視できないほどの快感へと変わっていくからだ。
最初から強い快感があるわけではない。
ほんのわずかな違和感から始まる。
けれど、一度意識してしまうと、下腹部がじわじわと熱を持ち始め、その感覚がなかなか頭から離れなくなる。
電車や車の揺れでも同じことがある。
だから私は、日常生活の中で走ることも、ジャンプすることも、しなくなった。
以前、おへその少し下あたりに電マを当て、絶頂する姿をXに投稿したことがある。
そのとき初めて、これを「体外ポルチオ」と呼ぶ人がいることを知った。
名前を知ったのは最近のこと。
でも、この感覚そのものとの付き合いは、もっとずっと長い。
最初に気づいたのは、いつだっただろう。
たしか、20代前半だった。
電車に乗って揺られているとき、ふと、
なんだかお腹が熱いかも。
そう思ったことを覚えている。
そのときは、それ以上のことは何も起きなかった。
だから深く考えることもなく、電車を降りれば忘れてしまう程度の出来事だった。
その頃の私は、まさかその何気ない感覚が、後になって自分の身体の特徴として強く意識するものになるとは思っていなかった。
それを偶然とはいえ、はっきりと自覚することになったのは、もう少し後のことだった。
当時の私には、出会い系で知り合った年上の男性がいた。
私が「Sのおじさん」と呼んでいた人だ。
バイト代をすべて差し出し、私生活まで管理してもらっていた。
ある日、その人と都内某所のプールへ行くことになった。
水着は自分で用意しなくていいと言われていた。
正直、普通の水着ではないだろうとは思っていた。
それまでの関係を考えれば、私が自分で選ぶような無難なものを用意してくるはずがない。
それでも、どんな水着なのかは当日まで知らされていなかった。
プールに到着し、男女それぞれの更衣室へ分かれる、その直前。
おじさんから袋をひとつ渡された。
中身を確認したのは、ひとりで女性更衣室に入ってからだった。
袋を開け、水着を取り出した瞬間、思わず手が止まった。
出てきたのは、目が痛くなるほど派手な蛍光色のTバックビキニだった。
蛍光ピンクを中心に、蛍光イエローとグリーンが入り混じった、遠くからでも目につきそうな色使い。
トップは細い紐で結ぶ、小さめの三角ビキニ。
そして、問題はボトムだった。
正面だけを見れば、少し小さめのビキニにも見える。
けれど裏返すと、お尻を覆うはずの布がほとんどなかった。
お尻の割れ目をなぞるように、細い紐が縦に一本伸びている。
それと腰を横切る細い紐。
ほとんど、それだけだった。
マイクロビキニと呼ぶほど、全体の布面積が極端に小さいわけではない。
それでも、
普通の水着ではないだろう。
そう思っていた私の予想を、十分すぎるほど裏切らない水着だった。

実際に着て、鏡の前に立った。
正面から見れば、お腹から腰まわりまで大きく露出した、派手な蛍光色のビキニ。
そして後ろを向けば、お尻を覆う布はほとんどない。
お尻の割れ目をなぞるように縦へ伸びる一本の細い紐。
後ろ姿だけを見れば、ほとんど裸だった。
そして足元には、もともと身につけてきたアンクレット。
足の人差し指には、小さなトゥリング。
どちらも、おじさんからもらったものだった。
裸足になると、その二つが妙に目についた。
改めて、鏡の中の自分を見る。
水着も。
アンクレットも。
足先のリングも。
今、私が身につけているものは、すべておじさんに指示されたものだった。
自分で選んだものは、ひとつもない。
そんな姿のまま、私は更衣室を出た。
外へ出た瞬間、周囲から視線が向けられているのが分かった。
気のせいではなかった。
すれ違いざまにこちらを見る人もいれば、通り過ぎてから振り返る人もいる。
周囲には家族連れも、カップルも、友人同士で遊びに来ている人たちもいた。
みんな、ごく普通の水着を着ている。
その中に、蛍光色のTバックビキニを着た私がいる。
目立たないはずがなかった。
その視線の先に、先に着替えを済ませて待っていたおじさんがいた。
知らない人に見られるのとは、また少し違う恥ずかしさがあった。
この水着を選んだ本人の前へ、その水着を着た姿で戻っていく。
おじさんとの距離が縮まるほど、自分がどんな格好をしているのかを否応なく意識した。
そして、そのまま私はおじさんとプールへ向かった。
最初に入ったのは、流れるプールだった。

水の中に入れば、少しは人目が気にならなくなると思っていた。
水に身体を預け、そのまま流れに運ばれていく。
けれど、しばらくすると別のことが気になり始めた。
身体に当たり続ける水流だった。
最初は何とも思っていなかった。
ところが流されているうちに、お腹の奥がじわじわと熱くなってきた。
以前、電車の中で感じた、あの感覚に似ている。
でも、今度はもっとはっきりしていた。
水の流れがお腹に当たる。
身体が揺れる。
そのたびに、下腹部から何とも言えない感覚が少しずつせり上がってくる。
私はまだ、自分の身体に何が起きているのか理解できていなかった。
それなのに、水流は途切れてくれない。
そして私は、
流れるプールの中で、いとも簡単に軽く絶頂してしまった。
本当にあっけなかった。
自分でも驚いた。
その瞬間、思わず小さく声まで漏れてしまった。
一緒に流れていたおじさんも私の様子がおかしいことに気づき、私は起きたことを伝えた。
おじさんも驚いた様子だった。
ただ、彼は少し違う理由を想像していたようだった。
自分が用意した露出度の高い水着を、大勢の人がいるプールで着せられている。
その恥ずかしさで、私が高まってしまったのだと思ったらしい。
そして私は、別のプールへ連れていかれた。
ジャグジーのように水が激しく動いている場所だった。
胸ほどの深さがあり、水中の壁には強い水流が噴き出す穴がいくつも並んでいる。

その中に、ちょうど私のお腹ほどの高さから水が噴き出している場所があった。
おじさんは私をそこまで連れていき、下腹部が水流を受ける位置へ身体を寄せた。
次の瞬間、
勢いのある水が、お腹へまともに当たった。
流れるプールとは比べものにならなかった。
身体の表面を撫でられているような感覚ではない。
強い水流を受けるたび、下腹部の奥まで揺さぶられているように感じた。
さっき流れるプールで感じたものと同じ。
でも、その何倍も強かった。
一度感覚が高まると、水流は止まってくれない。
ようやく落ち着きそうになったところへ、また同じ場所を刺激される。
私はそこで何度も絶頂した。
四回だったのか。
五回だったのか。
途中から、自分でもよく分からなくなっていた。
最後には声を抑えることもできず、思わず大きな声を出してしまった。
周囲の人がこちらを見た。
さすがに恥ずかしくなって、私は何でもないような顔をしてその場をやり過ごした。
今になって思えば、あの日は私にとって、自分の身体の少し変わった部分を初めてはっきりと知った日だったのだと思う。
当時は、それが何なのかも、名前があることすら知らなかった。
ただ、あの日を境にひとつだけ分かった。
私の身体は、下腹部への刺激だけでも反応する。
走ったり、ジャンプしたり。
今では、そんな当たり前の動きすらできない。
電車や車で揺られるだけでも、不意に下腹部が熱を持つ。
そして今でも、その感覚は消えていない。
あのプールの日から、私は日常生活ですら、快感に支配されてしまったようだ。

